背任罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…

午前の部(刑法) 午前の部 第26問

背任罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア Aが、自己が所有する不動産に抵当権を設定した後にその旨の登記がされていないのを奇貨として、更に他の者に対して抵当権を設定し、その旨の登記を完了させた。この場合、1番抵当権者に対するAの抵当権設定の登記義務は設定者であるA固有の事務であって他人の事務ではないから、Aに背任罪は成立しない。イ 任務に違背して担保を徴せずに回収見込みのない者に貸付けを行った場合には、当該貸付けに係る貸金債権の返済期限が到来し、現実に回収不能であることが明らかとなった時点で、初めて背任罪における「財産上の損害」が認められる。ウ 「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」については、意欲ないし積極的認容まで必要である。エ 「自己若しくは第三者の利益」における「利益」には、自己の信用・面目が失墜することを防止することも含まれる。オ 自己又は第三者の利益を図る目的と本人の利益を図る目的が併存する場合であっても、本人の利益を図る目的が決定的な動機でなく、主として自己又は第三者の利益を図る目的で行われたものであれば、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」があったと認定するのを妨げない。

正答 (5)
正答は (5)。正しいのはエとオです。 【ア】誤り 判例は、抵当権を設定した者が、その登記をしないうちに、さらに他の者に抵当権を設定して先にその登記を完了させた事案(二重抵当)で、抵当権設定者は第一の抵当権者のためにその登記に協力する任務を負い、この任務は主として他人である抵当権者のために負うものであるから「他人のためにその事務を処理する者」に当たるとし、背任罪の成立を認めました。 【イ】誤り 判例は、背任罪の「財産上の損害を加えた」とは、経済的見地において本人の財産状態を評価し、本人の財産の価値が減少したとき又は増加すべかりし価値が増加しなかったときをいうとしています。任務に違背して担保を取らずに回収の見込みのない者に貸し付ければ、その時点で、経済的見地からみて本人の財産的価値は減少しており、財産上の損害が認められます。返済期限が到来して回収不能が明らかになるのを待つ必要はありません。
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【ウ】誤り 判例は、図利加害目的(自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的)について、意欲ないし積極的認容までは要しないとしています。 【エ】正しい 判例は、「自己若しくは第三者の利益」は財産上の利益に限らず、身分上の利益その他すべて自己の利益を含むとし、自己の信用・面目の失墜を防止することもこれに当たるとしています。 【オ】正しい 判例は、本人の利益を図る目的と自己又は第三者の利益を図る目的が併存する場合でも、本人の利益を図る目的が決定的な動機ではなく、主として自己又は第三者の利益を図る目的で行われたのであれば、図利加害目的があったと認定することを妨げないとしています。 【まとめ】 正しいのはエとオで、この組合せは (5) です。

出典:2025年(令和7年度) 司法書士試験 午前の部 第26問(法務省 公表)出典元ページ

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