サリドマイドに関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。…
医薬品に共通する特性と基本的な知識 第17問
サリドマイドに関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。a サリドマイド訴訟は、サリドマイド製剤を使用したことにより、認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病が発生したことに対する損害賠償訴訟である。b サリドマイドは催眠鎮静成分として承認された(その鎮静作用を目的として、胃腸薬にも配合された)が、副作用として血管新生を妨げる作用もあった。c サリドマイドの光学異性体のうち、R体のサリドマイドを分離して製剤化することで血管新生を妨げる作用を避けることができる。d サリドマイドによる薬害事件は、日本のみならず世界的にも問題となったため、世界保健機関加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られることとなった。
- (1)a: 誤 b: 正 c: 正 d: 誤
- (2)a: 正 b: 正 c: 誤 d: 正
- (3)a: 正 b: 誤 c: 正 d: 誤
- (4)a: 誤 b: 正 c: 誤 d: 正
- (5)a: 正 b: 誤 c: 正 d: 正
正答 (4)
正答は (4)。組み合わせは a 誤、b 正、c 誤、d 正 です。
薬害訴訟は、事件ごとに「原因となった医薬品」と「起きた健康被害」の対応を覚えることが要点です。ここを入れ替えた選択肢が繰り返し出ます。
【(a)が誤り ―― 起きた被害が違う】
サリドマイド訴訟で問題になったのは、妊娠している女性が催眠鎮静剤として使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害、視覚障害、心臓の奇形などの先天異常(催奇形性)が生じたことです。
問題文の「認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病」は、クロイツフェルト・ヤコブ病の説明です。取り違えを狙った選択肢ですので、次のように対応を整理しておきましょう。
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サリドマイド …… 催眠鎮静成分 → 出生児の先天異常
キノホルム …… 整腸成分 → 亜急性脊髄視神経症(スモン)
ヒト乾燥硬膜 …… 脳外科手術での移植 → クロイツフェルト・ヤコブ病
血液凝固因子製剤 …… 血友病の治療 → ヒト免疫不全ウイルス感染
フィブリノゲン製剤、血液凝固第Ⅸ因子製剤 …… 止血 → C型肝炎
【(b)正しい ―― 鎮静作用と血管新生阻害】
サリドマイドは催眠鎮静成分として承認され、その鎮静作用を目的として胃腸薬にも配合されていました。そして副作用として血管新生を妨げる作用をもっていました。胎児は体をつくる段階で盛んに血管をつくりますので、この作用によって四肢などの形成が妨げられたわけです。
【(c)が誤り ―― R体を分けても避けられない】
サリドマイドにはR体とS体という光学異性体があり、血管新生を妨げる作用を示すのはS体のほうです。しかし、R体のみを分離して製剤化しても、体内でR体とS体は相互に変換してしまうため、催奇形性を避けることはできません。
「R体を分離すれば安全にできる」という書き方は誤りです。理由まで含めて「体内で入れ替わってしまうから無意味」と覚えておくと確実です。
【(d)正しい ―― 副作用情報の収集体制へ】
サリドマイドによる被害は日本だけでなく世界各国で発生しました。これを受けて、世界保健機関の加盟国を中心に、市販後の副作用情報を集めることの重要性が認識され、各国で副作用情報の収集体制が整えられていきました。第5章で学ぶ副作用報告の制度は、この流れの延長線上にあります。
出典:登録販売者試験 令和5年度(愛知県 公表問題)出典元ページ
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