薬の代謝、排泄に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。…
人体の働きと医薬品 第72問
薬の代謝、排泄に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。a 有効成分の母乳中への移行においては、乳児に対して副作用を発現するほどの濃度とはならないことが知られている。b 肝初回通過効果とは、全身循環に移行する有効成分の量が、消化管で吸収された量よりも肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなることをいう。c 循環血液中に移行した多くの有効成分は、血液中で複合体を形成しており、複合体を形成している有効成分の分子は薬物代謝酵素の作用で代謝されず、トランスポーターによって輸送される。d 薬物代謝酵素の遺伝子型には個人差がある。
- (1)a: 正 b: 誤 c: 誤 d: 正
- (2)a: 誤 b: 正 c: 誤 d: 誤
- (3)a: 正 b: 誤 c: 正 d: 誤
- (4)a: 誤 b: 正 c: 誤 d: 正
- (5)a: 誤 b: 誤 c: 正 d: 誤
正答 (4)
正答は (4)。組み合わせは a 誤、b 正、c 誤、d 正 です。
【(a)が誤り ―― 副作用が出る濃度になることもある】
有効成分の母乳中への移行について、手引きでは、乳児に対して副作用を発現するのに十分な量が乳汁中に移行することが知られている場合があるとされています。したがって、「副作用を発現するほどの濃度とはならない」と言い切ってしまうと誤りになります。実際、ジフェンヒドラミン塩酸塩で乳児に昏睡を生じるおそれがあること、センノシドで乳児に下痢を生じるおそれがあることなどが、添付文書に明記されています。
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【(b)正しい ―― 肝初回通過効果】
肝初回通過効果とは、全身循環に移行する有効成分の量が、消化管で吸収された量よりも肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなることをいいます。記述のとおりです。
仕組みを順に追うと、次のようになります。
消化管で吸収される
門脈を経て、まず肝臓を通過する
肝臓の薬物代謝酵素によって一部が代謝される
残った分が全身循環に入る
ここから、いくつかの重要な帰結が導けます。
まず、肝機能が低下している人では、肝初回通過効果を受ける成分が十分に代謝されず、血中濃度が高くなりやすいため、副作用が現れやすくなります。
次に、坐剤、舌下錠、外用薬、注射薬などは、肝初回通過効果を受けにくいという点です。これらは消化管を経由しないため、肝臓を通らずに全身循環へ入ります。効き目が速く現れる理由でもあります。
【(c)が誤り ―― トランスポーターでも輸送されない】
循環血液中に移行した多くの有効成分は、血漿タンパク質(主にアルブミン)と結合して複合体を形成しています。ここまでは正しい内容です。
誤っているのは末尾で、複合体を形成している分子は、薬物代謝酵素の作用で代謝されず、また、トランスポーターによって輸送されることもありません。さらに、腎臓で濾過されることもありません。
つまり、複合体になっている間はどこへも動かず、何もされない状態です。結合していない(遊離している)分だけが働き、代謝され、排泄されると理解してください。
このため、血漿タンパク質との結合を奪い合う成分どうしを併用すると、遊離型が増えて作用が強く出ることがあります。相互作用の仕組みのひとつです。
【(d)正しい ―― 代謝酵素には個人差がある】
薬物代謝酵素の遺伝子型には個人差があります。記述のとおりです。
同じ量を服用しても、人によって効き目や副作用の現れ方が違うのは、こうした個人差が一因です。年齢や体格の差だけで説明できるものではない、という点を押さえておきましょう。
出典:登録販売者試験 令和5年度(愛知県 公表問題)出典元ページ
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最終更新日
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