サリドマイドに関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。…
医薬品に共通する特性と基本的な知識 第17問
サリドマイドに関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。a サリドマイド訴訟は、サリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。b 妊娠している女性が摂取した場合、サリドマイドは血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する。c 催眠鎮静成分として承認されたが、副作用として血管新生を促進する作用もあった。d サリドマイドの催奇形性の原因となる作用は、その光学異性体のうち、一方の異性体のみが有する作用であることから、もう一方の異性体を分離して製剤化した場合には、催奇形性を避けることができる。
- (1)a: 誤 b: 誤 c: 正 d: 正
- (2)a: 正 b: 誤 c: 誤 d: 正
- (3)a: 正 b: 正 c: 誤 d: 誤
- (4)a: 正 b: 正 c: 正 d: 誤
- (5)a: 誤 b: 正 c: 正 d: 正
正答 (3)
正答は (3)。組み合わせは a 正、b 正、c 誤、d 誤 です。
【(a)正しい ―― サリドマイド訴訟の内容】
サリドマイド訴訟は、サリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟です。記述のとおりです。
サリドマイドは催眠鎮静剤として販売され、その鎮静作用を目的として胃腸薬にも配合されていました。薬効群を「鎮咳去痰薬」などに書き換えた選択肢が出ますので注意してください。
出生児に生じた先天異常としては、四肢欠損、耳の障害、視覚障害、心臓の奇形などが知られています。
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【(b)正しい ―― 血液-胎盤関門を通過する】
妊娠している女性が摂取した場合、サリドマイドは血液-胎盤関門を通過して胎児に移行します。記述のとおりです。
血液-胎盤関門は、母体の血液と胎児の血液が混じらないようにする仕組みですが、どの程度医薬品の成分の胎児への移行が防御されるかは、未解明のことも多いとされています。サリドマイドは、通過することが明らかになっている例です。
【(c)が誤り ―― 血管新生を「妨げる」】
サリドマイドは催眠鎮静成分として承認されましたが、副作用として血管新生を妨げる作用がありました。「促進する」ではありません。
胎児は、体をつくる段階で盛んに血管を新生させています。サリドマイドがこれを妨げたために、四肢の欠損などの先天異常が生じました。
「促進する」であれば、むしろ組織の形成を助けることになってしまい、催奇形性の説明になりません。なぜ四肢が欠損したのかという筋道まで理解しておけば、この書き換えにすぐ気づけます。
【(d)が誤り ―― 分離しても避けられない】
サリドマイドにはR体とS体という光学異性体があり、催奇形性の原因となる作用を示すのはS体のほうです。ここまでは問題文の前半どおりです。
しかし、摂取されると、R体とS体は体内で相互に転換してしまうため、一方の異性体のみを分離して製剤化しても、催奇形性を避けることはできません。
問題文は「もう一方の異性体を分離して製剤化した場合には、催奇形性を避けることができる」としていますので誤りです。
体内で入れ替わってしまうから分離しても無意味、という理由まで含めて覚えてください。ここは繰り返し問われる論点です。
【サリドマイド事件の影響】
最後に、この事件が制度にもたらした影響を確認しておきましょう。
世界保健機関加盟国を中心に、市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られた
WHO国際医薬品モニタリング制度の確立
日本では、1967年3月に医薬品副作用モニター制度がスタート
スモン訴訟とともに、1979年の医薬品副作用被害救済制度の創設につながった
なお、サリドマイド製剤は、日本では1958年1月から販売され、1961年11月に西ドイツ(当時)で製品が回収されるに至ったものの、日本では同年12月に西ドイツ企業から勧告が届いていたにもかかわらず、出荷停止は1962年5月まで行われず、販売停止及び回収措置は同年9月にまでずれ込んだという経緯も、あわせて押さえておくとよいでしょう。
出典:登録販売者試験 令和7年度(愛知県 公表問題)出典元ページ
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最終更新日
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