放射線による生物効果に関する次の現象のうち、放射線の間接作用によって説明することができないものはどれか。…
エックス線の生体に与える影響に関する知識 第39問
放射線による生物効果に関する次の現象のうち、放射線の間接作用によって説明することができないものはどれか。
- (1)エックス線光子と生体内の水分子を構成する原子との相互作用の結果生成されたラジカルが、生体高分子に損傷を与える。
- (2)温度が低下すると、放射線の生物効果は減少する。
- (3)生体中にシステイン、システアミンなどのSH基をもつ化合物が存在すると、放射線の生物効果は軽減する。
- (4)溶液中の酵素の濃度を変えて一定線量の放射線を照射するとき、不活性化される酵素の分子数は酵素の濃度に比例する。
- (5)溶液中の酵素の濃度を変えて一定線量の放射線を照射するとき、酵素の濃度が減少するに従って、酵素の全分子のうち、不活性化される分子の占める割合は増加する。
正答 (4)
正答は (4)。これが間接作用では説明できません。
間接作用が働いているなら、一定線量を照射したときに不活性化される酵素の分子数は、濃度によらずほぼ一定になります。濃度に比例するのであれば、それは直接作用の現れ方です。
【直接作用と間接作用】
直接作用 放射線が、標的の分子そのものに当たる
標的が多いほど当たる数も増える
→ 分子数は濃度に比例する
間接作用 放射線がまず水分子を分解し、
できたラジカルが標的を傷つける
→ ラジカルの数で決まるので、
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分子数は濃度によらない
【希釈効果】
濃度を薄くしても、壊れる分子の数は変わらない
→ 全体に占める割合は増える
これが(5)の述べていることです。同じ数のラジカルが、少ない分子を狙うことになるからです。(4)と(5)は、同じ現象を数で見るか割合で見るかの違いで、(4)だけが間接作用と逆になっています。
【ほかの選択肢】
(1) 水分子との相互作用で生じたラジカルが生体高分子を
傷つける 間接作用
(2) 温度が下がると生物効果が減少する 間接作用
(温度効果)ラジカルが動きにくくなるため
(3) SH基をもつ化合物があると効果が軽減する 間接作用
(保護効果)ラジカルを先に捕まえてしまうため
(5) 濃度が減ると不活性化される割合が増える 間接作用
(希釈効果)
【間接作用を示す四つの現象】
希釈効果 濃度を薄めても壊れる数は変わらない
保護効果 SH基化合物などがラジカルを捕まえる
温度効果 温度が下がるとラジカルが動けず効果が減る
酸素効果 酸素があると損傷が固定され効果が増す
いずれも「ラジカルが主役である」ことを前提にしないと説明できません。逆にいえば、これらが観察されることが間接作用の証しになります。
【人体では間接作用が主】
人体はおよそ60から70パーセントが水
だから放射線の生物効果の大部分は、水から生じたラジカルを介したものになります。
出典:エックス線作業主任者 2024年上半期実施分(2024年10月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)出典元ページ
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最終更新日
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