59 歳男性。身長 170 cm、体重 82 kg。会社の健康診断で血糖値が高いことを毎年指摘されていたが放置していた。…
薬学実践問題(化学) 第211問
59 歳男性。身長 170 cm、体重 82 kg。会社の健康診断で血糖値が高いことを毎年指摘されていたが放置していた。2 年前に受診し、糖尿病治療薬が処方されたがほとんど服用せずに自己中断してしまった。最近になり、喉の渇き、頻尿、倦怠感が顕著となり、総合病院を受診した。空腹時血糖値が 350 mg/dL、HbA1c が10%を超過しており、主治医と相談の結果、7 日間の糖尿病教育入院となった。入院後、処方1 ~3 の薬剤が処方され、並行して食事・運動療法、インスリン自己注射、血糖自己測定法等の指導を受けた。(処方1 )インスリンデグルデク(遺伝子組換え)ペン型注射液 1 本1 回8 単位 1 日1 回 就寝前皮下注射(自己注射)(処方2 )インスリンアスパルト(遺伝子組換え)ペン型注射液 1 本1 回3 単位 1 日3 回 朝昼夕食直前皮下注射(自己注射)(処方3 )ビルダグリプチン錠 50 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 7 日分処方3 のビルダグリプチンは、セリンプロテアーゼ(酵素A)阻害薬である。活性中心であるセリン残基の求核攻撃により、酵素-阻害薬間で共有結合複合体を形成するが、この反応は可逆的である。複合体の模式図として適切なのはどれか。1つ選べ。
正答 (1)
正答は (1)。セリンのヒドロキシ基がニトリル(C≡N)の炭素を求核攻撃すると、イミデート(O-C=NH)の共有結合ができ、この結合は可逆的です。
ビルダグリプチンは、ピロリジン環のニトリル基が DPP-4 の活性中心のセリンと反応して共有結合の複合体をつくります。ニトリルの炭素に酸素が付き、窒素は NH として残るので、1 の構造になります。この結合はゆっくり解離し、阻害は可逆的です。
【ほかの選択肢】
(2) セリンのエステル(アシル酵素)になるには、ニトリルが加水分解されて窒素が抜ける必要がある 誤り
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(3) アダマンタンのヒドロキシ基は反応の部位ではない 誤り
(4) アミド結合が切れた基質のような形で、ビルダグリプチンの構造が保たれていない 誤り
(5) C=N-O-Ser の形はニトリルへの攻撃では生じない 誤り
【ポイント】
ニトリルの炭素は求電子的で、セリンやシステインの求核攻撃を受けやすい部位です。
出典:第111回 薬剤師国家試験 問211(厚生労働省 公表)出典元ページ
最終更新日
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