同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。…
民法 問題32
同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- (1)双務契約が一方当事者の詐欺を理由として取り消された場合においては、詐欺を行った当事者は、当事者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使することができない。
- (2)家屋の賃貸借が終了し、賃借人が造作買取請求権を有する場合においては、賃貸人が造作代金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。
- (3)家屋の賃貸借が終了し、賃借人が敷金返還請求権を有する場合においては、賃貸人が敷金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。
- (4)請負契約においては仕事完成義務と報酬支払義務とが同時履行の関係に立つため、物の引渡しを要する場合であっても、特約がない限り、仕事を完成させた請負人は、目的物の引渡しに先立って報酬の支払を求めることができ、注文者はこれを拒むことができない。
- (5)売買契約の買主は、売主から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。
正答 (5)
正答は (5)。これが妥当です。
判例は、双務契約の一方当事者が一度履行の提供をしても、その提供が継続されない限り、相手方は同時履行の抗弁権を失わないとしています。いったん提供した売主が改めて履行を請求するときは、再び提供をしなければ、買主は代金の支払を拒めます。記述はこのとおりです。
【ほかの選択肢】
(1) 最高裁昭和47年9月7日判決は、売買契約が詐欺を理由に取り消された場合の当事者双方の原状回復義務は、533条の類推適用により同時履行の関係に立つとしました。詐欺をした当事者も同時履行の抗弁権を主張できます 妥当でない
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(2) 判例は、造作買取代金債権は造作に関して生じた債権で、建物に関して生じた債権ではないとして、造作代金の提供がないことを理由に建物の明渡しを拒むことはできない(同時履行の抗弁も留置権も認めない)としています 妥当でない
(3) 622条の2第1項1号は、敷金の返還は賃貸借が終了し「賃貸物の返還を受けたとき」としています。明渡しが先で、敷金の返還と明渡しは同時履行の関係に立ちません(最高裁昭和49年9月2日判決も同じ) 妥当でない
(4) 633条は、報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に支払わなければならないとしています。物の引渡しを要する請負では、報酬支払と目的物の引渡しが同時履行の関係に立ち、注文者は引渡しまで支払を拒めます 妥当でない
出典:令和2年度 行政書士試験 問題32(一般財団法人行政書士試験研究センター公表)出典元ページ
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