不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。…
民法 問題34
不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- (1)未成年者が他人に損害を加えた場合、道徳上の是非善悪を判断できるだけの能力があるときは、当該未成年者は、損害賠償の責任を負う。
- (2)精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、過失によって一時的にその状態を招いたとしても、損害賠償の責任を負わない。
- (3)野生の熊が襲ってきたので自己の身を守るために他人の宅地に飛び込み板塀を壊した者には、正当防衛が成立する。
- (4)路上でナイフを振り回して襲ってきた暴漢から自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ者には、緊急避難が成立する。
- (5)路上でナイフを持った暴漢に襲われた者が自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ場合、窓を壊された被害者は、窓を割った者に対して損害賠償を請求できないが、当該暴漢に対しては損害賠償を請求できる。
正答 (5)
正答は (5)。これが妥当です。
他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負いません(民法720条1項本文、正当防衛)。民法の正当防衛では、不法行為者以外の第三者に損害を与えた場合も免責されます。この場合、被害者は、不法行為をした者(暴漢)に対して損害賠償を請求することができます(同項ただし書)。
【ほかの選択肢】
(1) 妥当でない
未成年者が責任を負うかどうかは、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(責任能力)を備えていたかどうかで決まります(712条)。道徳上の是非善悪を判断できる能力があるだけでは足りません。
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(2) 妥当でない
精神上の障害により責任能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は責任を負いませんが、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、責任を負います(713条)。
(3) 妥当でない
野生の熊は「他人」の不法行為でも「他人の物」でもありません。民法720条1項の正当防衛は他人の不法行為に対するものなので成立しません。また、同条2項の緊急避難は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合のものなので、熊から逃げるために他人の板塀を壊した場合には当たりません。
(4) 妥当でない
暴漢という他人の不法行為から身を守るために第三者の物を壊した場合は、民法上は、720条1項の正当防衛に当たります。720条2項の緊急避難は、危難の原因となった物そのものを損傷した場合です。刑法の正当防衛・緊急避難とは区別の仕方が異なる点に注意が必要です。
出典:令和4年度 行政書士試験 問題34(一般財団法人行政書士試験研究センター公表)出典元ページ
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