AとBとの間でA所有の美術品甲(以下「甲」という。)をBに売却する旨の本件売買契約が締結された。この場合に関する次の記述…
民法 問題32
AとBとの間でA所有の美術品甲(以下「甲」という。)をBに売却する旨の本件売買契約が締結された。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- (1)Aは、Bが予め甲の受領を明確に拒んでいる場合であっても、甲につき弁済期に現実の提供をしなければ、履行遅滞の責任を免れない。
- (2)Aは、Bが代金の支払を明確に拒んでいる場合であっても、相当期間を定めて支払の催告をしなければ、本件売買契約を解除することができない。
- (3)Aが弁済期に甲を持参したところ、Bが甲を管理するための準備が整っていないことを理由に受領を拒んだため、Aは甲を持ち帰ったが、隣人の過失によって生じた火災により甲が損傷した。このような場合であっても、Bは、Aに対して甲の修補を請求することができる。
- (4)Aが弁済期に甲を持参したところ、Bが甲を管理するための準備が整っていないことを理由に受領を拒んだため、Aは甲を持ち帰ったが、隣人の過失によって生じた火災により甲が滅失した。このような場合であっても、Bは、代金の支払を拒むことはできない。
- (5)Aが弁済期に甲を持参したところ、Bが甲を管理するための準備が整っていないことを理由に受領を拒んだため、Aは甲を持ち帰ったが、隣人の過失によって生じた火災により甲が滅失した。このような場合であっても、Bは、本件売買契約を解除することができる。
正答 (4)
正答は (4)。これが妥当です。
債権者が債務の履行を受けることを拒んだ場合に、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によって履行不能となったときは、その履行不能は債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなされます(民法413条の2第2項)。債権者の責めに帰すべき事由による履行不能では、債権者は反対給付の履行を拒むことができない(536条2項)ので、Bは代金の支払を拒めません。売買については567条2項も同じ趣旨を定めています。
【ほかの選択肢】
(1) 妥当でない
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弁済の提供は原則として現実の提供が必要ですが、債権者があらかじめ受領を拒んでいるときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をする口頭の提供で足ります(493条ただし書)。
(2) 妥当でない
債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は催告をすることなく直ちに契約を解除できます(542条1項2号)。
(3) 妥当でない
売主が履行の提供をしたのに買主が受領を拒んだ場合、その後に当事者双方の責めに帰することができない事由で目的物が損傷したときは、買主は、その損傷を理由として履行の追完(修補)の請求をすることができません(567条2項・1項)。
(5) 妥当でない
債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は契約の解除をすることができません(543条)。本件の滅失は413条の2第2項により買主Bの責めに帰すべき事由によるものとみなされるので、Bは解除できません。
出典:令和5年度 行政書士試験 問題32(一般財団法人行政書士試験研究センター公表)出典元ページ
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