処分取消訴訟における訴えの利益の消滅に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。…
行政法 問題17
処分取消訴訟における訴えの利益の消滅に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- (1)公務員に対する免職処分の取消訴訟における訴えの利益は、免職処分を受けた公務員が公職の選挙に立候補した後は、給料請求権等の回復可能性があるか否かにかかわらず、消滅する。
- (2)保安林指定解除処分の取消訴訟における訴えの利益は、原告適格の基礎とされた個別具体的な利益侵害状況が代替施設の設置によって解消するに至った場合には、消滅する。
- (3)公文書非公開決定処分の取消訴訟における訴えの利益は、公開請求の対象である公文書が当該取消訴訟において書証として提出された場合には、消滅する。
- (4)運転免許停止処分の取消訴訟における訴えの利益は、免許停止期間が経過した場合であっても、取消判決により原告の名誉・感情・信用等の回復可能性がある場合には、消滅しない。
- (5)市立保育所廃止条例を制定する行為の取消訴訟における訴えの利益は、当該保育所で保育を受けていた原告ら児童の保育の実施期間が満了した場合であっても、当該条例が廃止されない限り、消滅しない。
正答 (2)
正答は (2)。妥当なのはこれです。
長沼ナイキ基地訴訟の判決(最判昭和57年9月9日)は、保安林指定解除処分の取消訴訟で、洪水や渇水の危険から生活を守るという利益を基礎に地域住民の原告適格を認めたうえで、代替施設(ダムなど)の設置によって洪水・渇水の危険が解消され、その防止上からは保安林の存続の必要性がなくなったと認められるに至ったときは、訴えの利益は失われるとしました。
【ほかの選択肢】
(1) 妥当でない
判例(最大判昭和40年4月28日)は、免職処分を受けた公務員が公職の選挙に立候補して公務員の地位を回復できなくなった場合でも、免職処分の取消しによって違法な免職処分がなければ受けることができた給料請求権等を回復できるのであれば、訴えの利益は失われないとしました。
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(3) 妥当でない
判例(最判平成14年2月28日)は、公文書の非公開決定の取消訴訟で、当該公文書が書証として提出されたとしても、公開請求の手続による公開を受けたことにはならないから、訴えの利益は消滅しないとしました。
(4) 妥当でない
判例(最判昭和55年11月25日)は、運転免許の効力停止処分を受けた者は、処分の日から無違反・無処分で1年を経過したときは、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有しないとし、名誉・感情・信用等を損なう可能性があることは事実上の効果にすぎないとしました。
(5) 妥当でない
判例(最判平成21年11月26日)は、市立保育所を廃止する条例の制定行為は処分に当たるとしたものの、原告らに係る保育の実施期間がすべて満了していたことから、取消しを求める訴えの利益は失われたとしました。
出典:令和6年度 行政書士試験 問題17(一般財団法人行政書士試験研究センター公表)出典元ページ
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