75 歳の女性。急速に進行する認知機能の低下を主訴に来院した。1 年前の認知症検診では改訂長谷川式簡易知能評価スケール2…
D問題 第56問
75 歳の女性。急速に進行する認知機能の低下を主訴に来院した。1 年前の認知症検診では改訂長谷川式簡易知能評価スケール29 点(30 点満点)であった。6 週間前ごろに目の前にある眼鏡がないと騒ぐようになった。同時期から歩行が不安定となった。5 週間前には自分の名前が言えなくなり、4 週間前には自身の足から何かを払いのけるような動作がみられるようになった。3 週間前には会話と歩行ができなくなった。1 週間前からはほぼ寝たきりとなり、時々全身をぴくつかせる運動がみられるようになった。食事も摂れなくなったため家族とともに受診した。頭部単純MRI の拡散強調像(別冊No. 20)を別に示す。診断はどれか。
- (1)結核性髄膜炎
- (2)単純ヘルペス脳炎
- (3)Lewy 小体型認知症
- (4)Creutzfeldt-Jakob 病
- (5)進行性多巣性白質脳症
正答 (4)
正答は (4)。Creutzfeldt-Jakob病です。
【図の見どころ】
拡散強調像で、両側の大脳皮質(前頭葉・島・後頭葉など)に沿って、リボンのように縁取る高信号がみられます(cortical ribbon sign)。
線条体(尾状核・被殻)にも淡い高信号があります。
1年前は正常だった認知機能が、数週間のうちに急速に落ちて、歩行障害、視覚の異常、ミオクローヌス(全身のぴくつき)が加わり、寝たきり・無言の状態へ進んでいます。孤発性のCreutzfeldt-Jakob病〈CJD〉の典型的な経過です。診断には、拡散強調像の皮質・基底核の高信号に加えて、脳波の周期性同期性放電〈PSD〉、脳脊髄液の14-3-3蛋白・総タウ蛋白の上昇、RT-QuIC法による異常プリオン蛋白の検出が役立ちます。有効な治療はなく、多くは1〜2年以内に亡くなります。医療器具を介してうつることがあるため、感染対策に注意します。
解説の続きをみる続きを閉じる
【ほかの選択肢】
(1) 結核性髄膜炎 誤り
発熱、頭痛、髄膜刺激症状があり、脳底部の髄膜が造影されます
(2) 単純ヘルペス脳炎 誤り
発熱と意識障害、けいれんで急に始まり、側頭葉内側・島に病変ができます
(3) Lewy小体型認知症 誤り
幻視、認知機能の変動、Parkinson症状がありますが、年単位でゆっくり進みます
(5) 進行性多巣性白質脳症 誤り
免疫が落ちた人のJCウイルス感染で、皮質ではなく白質に病変ができます
出典:2025年(令和7年) 医師国家試験 問56(厚生労働省 公表)出典元ページ
最終更新日
「D問題」のほかの問題
- 2024年(令和6年) 第31問36 歳の男性。動悸を主訴に来院した。10 年前から労作時の動悸と気が遠くなる感じの発作
- 2024年(令和6年) 第43問32 歳の初産婦(1 妊0 産)。妊娠32 週、水様帯下を自覚し来院した。これまで妊婦健
- 2024年(令和6年) 第55問78 歳の男性。入院中に肺炎を発症し喀痰検査を施行したところ多剤耐性緑膿菌を検出した。感
- 2024年(令和6年) 第67問47 歳の男性。検診で両眼底に視神経乳頭陥凹拡大を指摘されたため来院した。自覚症状はない
- 2024年(令和6年) 第5問成人の鼠径ヘルニアで正しいのはどれか。
- 2024年(令和6年) 第17問83 歳の女性。食事中のつかえ感を主訴に来院した。2 年前に胸やけがあり、上部消化管内視
スポンサーリンク


