時効に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…
午前の部(民法) 午前の部 第6問
時効に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 不動産の贈与を受け、所有権に基づいて自己の物として不動産を占有する者は、当該不動産について、取得時効を理由として所有権を有することを主張することができない。イ 期限の定めのない債権の消滅時効は、債務者が履行の請求を受けた時から進行する。ウ 後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅により当該後順位抵当権者に対する配当額が増加する場合には、当該先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。エ 時効期間を計算するに当たっては、その期間が午前零時から始まるときを除き、期間の初日は算入しない。オ 主たる債務者が主たる債務について時効の利益を放棄した場合においても、保証人は、主たる債務の消滅時効を援用することができる。
- (1)アイ
- (2)アエ
- (3)イウ
- (4)ウオ
- (5)エオ
正答 (5)
正答は (5)。正しいのはエとオです。
【ア】誤り
民法第162条は「他人の物を占有した者」と定めていますが、判例は、自己の物についても取得時効の援用は許されるとしています。所有権に基づいて不動産を占有する者でも、所有権の取得原因を証明することが難しい場合や、二重譲渡の相手方に登記で劣後した場合などに、時効取得を主張する意味があるからです。贈与を受けて自己の物として占有する者も、取得時効を主張できます。
【イ】誤り
期限の定めのない債権は、債権が成立した時から権利を行使できるので、消滅時効は原則として債権の成立の時から進行します(第166条第1項)。債務者が履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う(第412条第3項)のとは別の問題です。履行遅滞の起算点と消滅時効の起算点を混同させる記述です。
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【ウ】誤り
判例は、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないとしています。先順位抵当権が消えて配当額が増えるという利益は、順位が上がることによる反射的な利益にすぎず、第145条の「権利の消滅について正当な利益を有する者」には当たらないとされました。これに対し、抵当不動産の第三取得者や物上保証人は、被担保債権の消滅時効を援用できます。
【エ】正しい
民法第140条は、日・週・月・年で期間を定めたときは、期間の初日は算入しないとし、ただし、その期間が午前零時から始まるときはこの限りでないと定めています(初日不算入の原則)。時効期間の計算もこの規定によります。
【オ】正しい
時効の利益の放棄の効果は、放棄をした者についてだけ生じます(相対効)。主たる債務者が時効の利益を放棄しても、保証人は、自ら主たる債務の消滅時効を援用することができます。保証人は第145条の「保証人」として、援用権者に明記されています。
【整理】
時効を援用できる者(第145条):保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者。援用できない者の代表例:後順位抵当権者(先順位抵当権の被担保債権について)。
正しいのはエとオですから、正答は (5) です。
出典:2024年(令和6年度) 司法書士試験 午前の部 第6問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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