抵当権の消滅に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか…
午前の部(民法) 午前の部 第15問
抵当権の消滅に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 抵当権者が同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権を放棄した場合において、当該他の債権者の債権が弁済により消滅したときは、その抵当権は、放棄がなかったのと同じ状態に戻る。イ 抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当不動産の代価をその抵当権者に弁済した場合には、後順位の抵当権は、その順位が上昇する。ウ 共有不動産全体に抵当権が設定されている場合には、当該共有不動産の共有持分のみを取得した第三取得者は、自己の共有持分について単独で抵当権消滅請求をすることができる。エ 抵当権を実行することができる時から民法第166条第2項の消滅時効期間が経過したときは、抵当権設定者は、抵当権者に対し、時効による抵当権の消滅を主張することができる。オ 地上権を目的として抵当権を設定した地上権者は、その地上権を放棄したときであっても、その放棄をもって抵当権者に対抗することができない。(参考)民法第166条 (略)2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。3 (略)
- (1)アウ
- (2)アオ
- (3)イウ
- (4)イエ
- (5)エオ
正答 (2)
正答は (2)。正しいのはアとオです。
【ア】正しい
抵当権者は、同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その抵当権を放棄することができます(民法376条1項)。この放棄は、利益を受ける債権者との関係でだけ効力を持つ相対的なもので、抵当権者と受益者は、抵当権者が受けるはずの配当を債権額の割合で分け合うことになります。受益者の債権が弁済によって消滅すれば、放棄の利益を受ける者がいなくなるので、抵当権は放棄がなかったのと同じ状態に戻ると解されています。
【イ】誤り
抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権は「その第三者のために」消滅します(378条)。この消滅は、代価を弁済した第三取得者との関係での相対的なものと解されており、後順位の抵当権者が、これによって順位の上昇という利益を受けるわけではないとされています。
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【ウ】誤り
判例は、旧法の滌除について、抵当不動産の共有持分を取得した第三者は滌除をすることができないとしており、この考え方は、滌除に代わる抵当権消滅請求(379条)にも当てはまると解されています。持分だけについて抵当権を消滅させることを認めると、抵当権者が不動産全体について一体として把握している交換価値が分断され、抵当権者を害するからです。
【エ】誤り
抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しません(396条)。被担保債権が存続している限り、抵当権設定者は、166条2項の20年の期間が経過したことを理由に、抵当権の時効消滅を主張することはできません。なお判例は、債務者・設定者以外の第三取得者などとの関係では、抵当権は166条2項により時効消滅し得るとしています。
【オ】正しい
地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができません(398条)。放棄によって抵当権の目的を失わせ、抵当権者を害することを防ぐ規定です。
【組み合わせ】
正しいのはアとオで、これを組とする (2) が正答です。
出典:2025年(令和7年度) 司法書士試験 午前の部 第15問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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