農地である甲土地についての登記を申請する場合における農地法所定の許可があったことを証する情報の提供に関する次のアからオま…
午後の部(不動産登記法・商業登記法) 午後の部 第18問
農地である甲土地についての登記を申請する場合における農地法所定の許可があったことを証する情報の提供に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 法定相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記がされ、A及びBが所有権の登記名義人となった甲土地について、遺産分割を原因とするAからBへのA持分全部の移転の登記を申請する場合には、農地法所定の許可があったことを証する情報の提供を要する。イ 甲土地について、AからBへの売買を原因とする所有権の移転の登記がされた場合において、錯誤を原因とする当該登記の抹消を申請するときは、農地法所定の許可があったことを証する情報の提供を要する。ウ A及びBを所有権の登記名義人とする甲土地について、共有物分割を原因とするAからBへのA持分全部の移転の登記を申請する場合には、農地法所定の許可があったことを証する情報の提供を要する。エ 電気事業者が高圧電線路を敷設するため甲土地全体に「電線路の障害となる工作物を設置しない」ことを目的とする地役権の設定の登記を申請する場合には、農地法所定の許可があったことを証する情報の提供を要する。オ 甲土地について「質権者は質物を使用収益できない」旨の定めがない不動産質権の設定の登記を申請する場合には、農地法所定の許可があったことを証する情報の提供を要する。
- (1)アウ
- (2)アエ
- (3)イエ
- (4)イオ
- (5)ウオ
正答 (5)
正答は (5)。正しいのはウとオです。
【ア】誤り
遺産の分割によって農地の権利を取得する場合には、農地法3条1項の許可は要りません(同項ただし書12号の例外に当たります)。法定相続分による相続の登記がされた後に、遺産分割を原因として持分を移転する登記をする場合も同じで、許可を証する情報の提供は要しません。
【イ】誤り
錯誤を原因とする所有権の移転の登記の抹消は、権利の移転や設定をするものではなく、誤った登記を消して実体に合わせるものです。そのため、農地法の許可を証する情報の提供は要しないとされています。
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【ウ】正しい
共有物分割は、共有者の間で持分を移転させるもので、相続や遺産分割のように農地法3条1項の許可の例外とはされていません。そのため、共有物分割を原因とする持分の移転の登記には、農地法所定の許可があったことを証する情報の提供を要するとされています。
【エ】誤り
農地法3条1項の許可が必要なのは、所有権の移転や、地上権・永小作権・質権・使用貸借による権利・賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定・移転です。しかし、電気事業者が送電線を設置するために設定する、いわゆる線下の地役権(「電線路の障害となる工作物を設置しない」ことを目的とするもの)については、登記の実務上、農地法所定の許可を証する情報の提供は要しないとされています。なお、農地法3条1項16号と同法施行規則15条7号は、電気事業者が送電用又は配電用の電線を設置するために区分地上権(民法269条の2第1項)又はこれと内容を同じくするその他の権利を取得する場合を、許可の例外として定めています。
【オ】正しい
不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができます(民法356条)。使用収益をしない旨の定め(民法359条)がない不動産質権は、農地を使用収益する権利なので、その設定には農地法3条1項の許可が必要で、設定の登記には許可を証する情報の提供を要します。
【まとめ】
正しいのはウとオで、この組合せは (5) です。
【整理】
許可が不要なもの:相続・遺産分割・包括遺贈(及び相続人への特定遺贈)・時効取得・法人の合併など。許可が必要なもの:売買・贈与・共有物分割・相続人以外への特定遺贈・使用収益型の権利の設定など。
出典:2025年(令和7年度) 司法書士試験 午後の部 第18問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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