9 歳の男児。学校の健康診断で両眼の視力低下を指摘され来院した。視力は右(0.6×+0.50 D)、左(0.5×+0.2…
午前 第70問
9 歳の男児。学校の健康診断で両眼の視力低下を指摘され来院した。視力は右(0.6×+0.50 D)、左(0.5×+0.25 D)であった。ERG 検査では最大応答および杆体応答はやや減弱、錐体応答とフリッカ応答は著明に低下していた。眼底写真、フルオレセイン蛍光眼底造影検査およびOCT 検査の所見(別冊No. 7)を別に示す。考えられるのはどれか。
- (1)黄斑低形成
- (2)Stargardt 病
- (3)網膜色素変性
- (4)錐体ジストロフィ
- (5)Leber 遺伝性視神経症
正答 (2)
正答は (2)。考えられるのは Stargardt 病です。
【見るところ】
眼底写真:黄斑部に横長の楕円形の萎縮性の病変があり、その周りから後極部にかけて、小さな黄白色の斑点(黄色斑、fleck)が散らばっていると読めます。乳頭や網膜血管に目立つ異常はありません。
フルオレセイン蛍光眼底造影:黄斑部に網膜色素上皮の萎縮による過蛍光(window defect)があり、後極部の全体に多数の点状の過蛍光(黄色斑に当たる)が散らばっています。背景の脈絡膜の蛍光は暗めに見えます(dark choroid)。
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OCT:中心窩の陥凹はありますが、中心窩とその周りで視細胞の層(外層の高反射の線)が途切れ、外層が薄くなっていると読めます。
学童期に両眼の視力が下がり、黄斑の萎縮と後極部に広がる黄色斑、dark choroid がそろうことから、Stargardt 病(主に ABCA4 遺伝子の異常による常染色体劣性の黄斑ジストロフィ)と考えられます。全視野 ERG は病変が黄斑にとどまるうちは正常のことが多いのですが、病変が広がると錐体系の応答が低下し、さらに杆体系も低下する型があります。この例の ERG(錐体応答・フリッカ応答の著明な低下と杆体応答の軽い減弱)は、病変が後極部に広く及んでいることを示すと考えられます。
【ほかの選択肢】
(1) 黄斑低形成 OCT で中心窩の陥凹がない(網膜内層が中心窩にも残る)のが特徴。この OCT では陥凹がある 誤り
(3) 網膜色素変性 杆体が先に障害されて杆体応答が強く低下し、夜盲と中間周辺部の変化から始まる。この例は錐体系の低下が主で、病変は後極部にある 誤り
(4) 錐体ジストロフィ ERG で錐体系が強く低下し、黄斑の萎縮(bull's eye)を示す点は似ているが、後極部に散らばる黄色斑や dark choroid はみられない 誤り
(5) Leber 遺伝性視神経症 視神経の病気で、ERG は正常。若い男性の急な中心視力低下が典型 誤り
出典:2025年(令和7年) 視能訓練士国家試験 問70(厚生労働省 公表)出典元ページ
最終更新日
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