医薬品の代謝及び排泄に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。…
人体の働きと医薬品 第56問
医薬品の代謝及び排泄に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。a 小腸などの消化管粘膜には、医薬品の代謝活性がない。b 有効成分は未変化体のままで、あるいは代謝物として、肺から呼気中へ排出されることがある。c 消化管で吸収された有効成分は、消化管の毛細血管から血液中へ移行し、その血液は全身循環に入る前に、腎臓を通過する。d 腎機能が低下した人では、正常な人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくい。
- (1)a: 正 b: 誤 c: 誤 d: 誤
- (2)a: 正 b: 正 c: 誤 d: 正
- (3)a: 誤 b: 正 c: 誤 d: 正
- (4)a: 誤 b: 誤 c: 正 d: 正
- (5)a: 正 b: 正 c: 正 d: 誤
正答 (3)
正答は (3)。b と d が正しい記述です。
【(a)が誤り ―― 消化管粘膜にも代謝活性がある】
小腸などの消化管粘膜にも、医薬品を代謝する酵素が存在します。「代謝活性がない」というのは誤りです。
代謝を行うのは肝臓だけ、という思い込みを突いてくる問題です。消化管粘膜や腎臓にも代謝に関わる酵素が存在しますので、代謝イコール肝臓だけ、という単純化はできません。
【(b)正しい ―― 肺から呼気中への排出】
有効成分は、未変化体のままで、あるいは代謝物として、呼気中、汗中、母乳中などにも排出されることがあります。
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母乳中に移行するという点は実務上とても重要です。ロートエキスが母乳中に移行して乳児の脈が速くなるおそれがあること、センノシドなどの大腸刺激性瀉下成分が母乳に移行して乳児に下痢を生じさせるおそれがあることなどが、添付文書の注意事項として定められています。
【(c)が誤り ―― 全身循環の前に通るのは肝臓】
消化管で吸収された有効成分は、消化管の毛細血管から血液中へ移行し、その血液は全身循環に入る前に、門脈という血管を経由して肝臓を通過します。腎臓ではありません。
このとき、吸収された有効成分は、まず肝臓で代謝を受けることになります。これを肝初回通過効果といいます。そのため、全身循環に移行する有効成分の量は、消化管で吸収された量よりも少なくなります。
肝機能が低下した人では、肝臓で代謝されるまでに時間がかかり、血中濃度が下がりにくいため、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりします。
【(d)正しい ―― 腎機能低下と血中濃度】
腎機能が低下した人では、正常な人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくいため、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりします。
(c)の肝臓の話と(d)の腎臓の話は、代謝が遅れるか、排泄が遅れるかの違いだけで、結論は同じです。高齢者で副作用が出やすいのは、この両方が同時に起こり得るからです。
【あわせて押さえること】
医薬品の有効成分は、血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しています。複合体を形成している分子は薬物代謝酵素の作用で代謝されず、トランスポーターによって輸送されることもないため、組織へ移行しません。複合体からの遊離は徐々に進みます。
出典:登録販売者試験 令和8年度(群馬県 公表問題)出典元ページ
最終更新日
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