以下は医薬品による副作用等に関する訴訟についての記述である。このうち、訴訟の原因となった医薬品が一般用医薬品として販売さ…
医薬品に共通する特性と基本的な知識 第20問
以下は医薬品による副作用等に関する訴訟についての記述である。このうち、訴訟の原因となった医薬品が一般用医薬品として販売されていたものの組み合わせを下から一つ選びなさい。ア ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した製剤により、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟イ ヒト乾燥硬膜を介してクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に罹患したことに対する損害賠償訴訟ウ サリドマイド製剤を、妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障がい等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟エ キノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症(スモン)に罹患したことに対する損害賠償訴訟
- (1)(ア、イ)
- (2)(ア、ウ)
- (3)(イ、エ)
- (4)(ウ、エ)
正答 (4)
正答は (4)。一般用医薬品として販売されていたのは、(ウ)サリドマイド製剤と(エ)キノホルム製剤です。
【(ウ)サリドマイド ―― 一般用医薬品としても販売】
サリドマイド製剤は、催眠鎮静剤として販売され、その後、胃腸薬にも配合されました。一般用医薬品としても販売されていた点が、本問を解く鍵です。
被害の内容 …… 妊娠している女性が使用したことにより、
出生児に四肢欠損、耳の障害(聴覚障害)、視覚障害、心臓や消化器の奇形等の先天異常が発生しました。
原因 …… サリドマイドの血管新生を妨げる作用により、
解説の続きをみる続きを閉じる
胎児の細胞分裂が正常に行われず、器官が十分に成長しないまま奇形が発生します。
サリドマイドの光学異性体のうち、S体に血管新生を妨げる作用があり、R体には催眠鎮静作用があります。
R体のみを分離しても、体内で一部がS体に転換するため、催奇形性を避けることはできません。
この点は繰り返し問われます。
訴訟の経過 …… 1963年6月に静岡地裁、
以後、全国8地裁で提訴され、1974年10月に和解が成立しました。
国際的な背景 ……
1961年11月に西ドイツ(当時)の企業が製品の回収を始めたのに対し、日本では出荷停止が1962年5月まで行われず、販売停止・回収措置は同年9月と遅れたことが被害を拡大させました。
この対応の遅さが、薬害の教訓として語られます。
【(エ)キノホルム ―― 一般用医薬品としても販売】
キノホルム製剤は、整腸剤として1924年から販売されており、一般用医薬品としても販売されていました。
被害の内容 …… 亜急性脊髄視神経症(スモン)。
初期は腹部の膨満感から、激しい腹痛を伴う下痢が起こり、その後、下半身のしびれや脱力、歩行困難が現れます。
麻痺は上半身にも拡がる場合があり、ときに視覚障害から失明に至ることもあります。
経過 …… 1958年頃から特異な神経症状の報告が増え、
日本では1970年9月に販売が停止されました。
訴訟 …… 1971年5月に提訴され、
1979年9月に全面和解が成立しています。
恒久対策 …… 治療研究のほか、
施術費および医療費の自己負担分の公費負担、世帯厚生資金貸付による生活資金の貸付、重症患者に対する介護事業等が講じられています。
【(ア)(イ)が該当しない理由】
(ア)HIV訴訟 …… 原因となったのは
血液凝固因子製剤であり、血友病患者に対して医療機関で投与される医療用医薬品です。
一般用医薬品として販売されていたものではありません。
(イ)CJD訴訟 …… 原因となったのは
ヒト乾燥硬膜であり、脳外科手術で患者に移植される医療材料です。
こちらも、店頭で販売されるものではありません。
【5つの薬害訴訟の整理】
サリドマイド訴訟 …… 催眠鎮静剤・胃腸薬。
一般用医薬品としても販売。先天異常。
スモン訴訟 …… 整腸剤(キノホルム)。
一般用医薬品としても販売。亜急性脊髄視神経症。
HIV訴訟 …… 血液凝固因子製剤。医療用。
被告は国及び製薬企業。
CJD訴訟 …… ヒト乾燥硬膜。医療材料。
被告は国、輸入販売業者、製造業者。
C型肝炎訴訟 …… フィブリノゲン製剤、
血液凝固第Ⅸ因子製剤。出産や手術での大量出血時に投与。
サリドマイドとスモンは一般用医薬品としても販売されていた。
この2つが「店頭で買えた薬」だと覚えておくのが、本問の型に対する最短の答えです。
出典:登録販売者試験 令和2年度(福岡県 公表問題)出典元ページ
最終更新日
「医薬品に共通する特性と基本的な知識」のほかの問題
- 令和元年度 第20問クロイツフェルト・ヤコブ病(以下「CJD」という。)及びCJD訴訟に関する以下の記述の正
- 令和3年度 第20問クロイツフェルト・ヤコブ病(以下「CJD」という。)及びCJD訴訟に関する以下の記述のう
- 令和4年度 第20問HIV訴訟に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
- 令和5年度 第20問医薬品等による副作用等にかかる訴訟とその原因となった医薬品等に関する以下関係の正誤につい
- 令和6年度 第20問ヒト免疫不全ウイルス(以下「HIV」という。)及びクロイツフェルト・ヤコブ病(以下「CJ
- 令和7年度 第20問クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)訴訟及びスモン訴訟に関する以下の記述の正誤について、
スポンサーリンク

