次に掲げる物品のうち、関税暫定措置法第8条の2第1項の特恵関税に関し、関税暫定措置法施行令第26条第1項第1号の特恵受益…
通関実務 通関実務 第7問
次に掲げる物品のうち、関税暫定措置法第8条の2第1項の特恵関税に関し、関税暫定措置法施行令第26条第1項第1号の特恵受益国等(同法第8条の2第1項に規定する特恵受益国等をいう。)において完全に生産された物品に該当するものはどれか。以下の関税暫定措置法施行規則第8条の規定を参考にし、該当するものすべてを選び、その番号をマークしなさい。なお、次に掲げる物品については、各選択肢に記載されている特恵受益国等から本邦へ輸出されるものとし、また、各選択肢に記載されている材料以外の使用されうる材料については考慮しないものとする。
- (1)特恵受益国等以外の国の船舶により公海で採捕され、特恵受益国等であるA国で水揚げされたサーモン
- (2)特恵受益国等であるA国の船舶により公海で採捕されたサーモンを、A国において冷凍保存したもの
- (3)特恵受益国等であるA国で製造された機械を用いて、特恵受益国等以外の国において採掘され、A国に輸出された鉄鉱石
- (4)特恵受益国等以外の国で生産された金属材料を用いて、特恵受益国等であるA国において金型を製造した際に生じた金属の削りくず
- (5)特恵受益国等以外の国において生まれ、かつ、成育した牛から、特恵受益国等であるA国において得られた牛乳
正答 (2)(4)(5)
正答は、(2)、(4)、(5) の三つです。
【完全生産品の考え方】
特恵関税の原産地規則では、一の国または地域において完全に生産された物品であれば、それだけで特恵受益国等の原産品と認められます。何が完全生産品かは、問題文に参考として示された関税暫定措置法施行規則第8条が限定列挙しています。
この列挙を読むときの鍵は二つです。第一に、「一の国又は地域において」という場所の要件がどの行為にかかっているかを見ること。第二に、原料や材料の原産地まで問うている号と、問うていない号を区別することです。第10号だけが「前各号に掲げる物品のみを原料又は材料として生産された物品」として材料の限定を置いており、他の号は原料の出所を問題にしていません。
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【各選択肢の検討】
(1) 該当しません。第6号は「一の国又は地域の船舶により公海……で採捕された水産物」と定めています。場所の要件がかかっているのは船舶の国籍であって、水揚げした場所ではありません。特恵受益国等以外の国の船舶が採捕したものは、A国で水揚げしてもA国の完全生産品にはなりません。
(2) 該当します。A国の船舶が公海で採捕したサーモンは第6号の物品です。これをA国において冷凍保存したものは、第6号の物品のみを原料または材料として生産された物品として第10号に当たります。冷凍という加工は原産性を失わせるものではありません。
(3) 該当しません。第1号は「一の国又は地域において採掘された鉱物性生産品」です。場所の要件は採掘の場所にかかります。A国で製造された機械を使ったかどうかは関係がなく、採掘された場所が特恵受益国等以外の国である以上、A国の完全生産品にはなりません。設備の国籍に目を向けさせる作りになっていますので、条文の主語と述語を確かめてください。
(4) 該当します。第9号は「一の国又は地域において行なわれた製造の際に生じたくず」です。ここには材料の原産地に関する限定がありません。したがって、非原産の金属材料を用いた金型の製造であっても、その製造がA国で行われた以上、そこで生じた削りくずはA国の完全生産品になります。くずは元の材料の価値をほとんど残しておらず、発生した国のものとみて差し支えないという考え方です。
(5) 該当します。第4号は「一の国又は地域において動物(生きているものに限る。)から得られた物品」です。動物がどこで生まれ、どこで育ったかは要件になっていません。搾乳がA国で行われていれば、その牛乳はA国の完全生産品です。
なお、第3号が「一の国又は地域において生まれ、かつ、成育した動物(生きているものに限る。)」として出生と成育の両方を求めているのと、第4号がその限定を置いていないことの対比が、この問題の核心です。牛そのものはA国の完全生産品ではないが、その牛から得られた牛乳はA国の完全生産品になる、という結論になります。
【解き方のこつ】
各号について「場所の要件が何にかかっているか」を指で追いながら読むのが確実です。船舶の国籍、採掘の場所、収穫の場所、出生と成育の場所、製造の場所、それぞれ違うところに要件が置かれています。
出典:第57回 通関士試験 通関実務 第7問(財務省 税関 公表)出典元ページ
最終更新日
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