行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。…
行政法 問題8
行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- (1)瑕疵なく成立した授益的処分について、事後の事情の変化を理由に講学上の撤回をすることは、かかる撤回ができる旨を定める明文の規定が法律または条例にあるときに限られる。
- (2)重大かつ明白な瑕疵を有する処分は当然に無効とされるが、処分の瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決まる。
- (3)一定の争訟手続に従って当事者を手続に関与せしめ、紛争の終局的解決を図ることを目的とする処分であっても、当該処分をした行政庁は、特別の規定がない限り、当該処分を取り消すことができる。
- (4)既になされた授益的処分について、講学上の職権取消しができるのは、当該授益的処分の成立時に違法があるときに限られ、不当があるにすぎない場合は除外される。
- (5)処分の成立時点において瑕疵があった場合、事後の事情の変化により当該瑕疵が解消するに至ったとしても、その瑕疵は治癒されることはなく、当該処分はそれを理由として取り消されるか、または当然に無効であるとされる。
正答 (2)
正答は (2)。妥当なのはこれです。
判例(最判昭和36年3月7日)は、行政処分が当然無効となるには処分に重大かつ明白な瑕疵がなければならず、瑕疵が明白であるとは、処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白である場合をいうとしています(外観上一見明白説)。行政庁が調査すべき資料を見落としたかどうかといった事情は、明白性の判断には関係しないとされます。
【ほかの選択肢】
(1) 妥当でない
判例(最判昭和63年6月17日、菊田医師事件)は、指定医師の指定を撤回することについて、法令上その撤回について直接明文の規定がなくても、撤回によって相手方が被る不利益を考慮してもなおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められるときは撤回できるとしました。明文の規定がある場合に限られません。
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(3) 妥当でない
一定の争訟手続を経て紛争を終局的に解決するためにされる裁決のような処分(争訟裁断行為)には、不可変更力があるとされます。判例も、農地委員会の裁決などについて、特別の規定がない限り、処分庁自身が取り消すことはできないとしています。
(4) 妥当でない
職権取消しは、処分の成立時に瑕疵がある場合に処分庁などが自ら処分の効力を失わせるもので、その瑕疵には違法だけでなく不当も含まれると解されています。
(5) 妥当でない
処分の成立時に瑕疵があっても、その後の事情の変化によって瑕疵が実質的に解消した場合には、瑕疵が治癒されたものとして処分を有効と扱う余地があるとされ(瑕疵の治癒)、判例にもこれを認めたものがあります。
【見分け方】
撤回は「後発的な事情」、職権取消しは「成立時の瑕疵(違法・不当)」です。どちらも法律の明文の根拠がなくても行えるとされますが、授益的処分では相手方の不利益との比較衡量で制限されます。
出典:令和7年度 行政書士試験 問題8(一般財団法人行政書士試験研究センター公表)出典元ページ
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