甲マンションの102号室を所有するAが遺言することなく死亡し、Aの相続人であるBとCがAの遺産全てをBが相続する旨の遺産…

民法など法令 第13問

甲マンションの102号室を所有するAが遺言することなく死亡し、Aの相続人であるBとCがAの遺産全てをBが相続する旨の遺産分割をした場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

正答 (3)
正答は (3)。 【何を問うているか】 相続と登記の関係を、譲渡の時期と遺産分割の前後で場合分けして問う問題です。第三者との関係が対抗問題(民法第177条)になるのか、ならないのかを見分けることが要点です。 【(1) 正しい】 Aが生前に102号室をDに譲渡していた場合、Aの相続人Bは、Aが持っていた地位をそのまま包括的に承継した者にすぎません。相続人は民法第177条にいう「第三者」にあたりません。譲渡人本人に対して登記なしに所有権を主張できるのと同じように、その相続人に対しても登記なしに主張できます。本肢は正しい記述です。
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【(2) 正しい】 Aが生前にEに譲渡し、その後にBがFに譲渡した場合、Eへの譲渡とFへの譲渡は、実質的にAという同一の権利者からの二重譲渡と同じ関係になります。BはAの地位を承継しているからです。したがってEとFは対抗関係に立ち、先に登記を備えたほうが勝ちます。Eは登記なくしてFに所有権を主張できません。本肢は正しい記述です。 【(3) 誤り。これが正答】 遺産分割協議の前に、共同相続人Cが自己の法定相続分に当たる持分を第三者Gに譲渡し、Gが移転登記を備えた場合です。民法第909条本文は、遺産の分割は相続開始の時にさかのぼって効力を生ずると定めていますが、同条ただし書は、第三者の権利を害することはできないとしています。そして、このただし書による保護を受けるには、第三者の側が対抗要件を備えていることが必要だと解されています。Gは登記を備えていますから保護され、Bは遺産分割の効果をGに対抗できません。すなわちBはGに対して102号室全部の所有権を主張することはできません。本肢はこれを主張できるとしている点で誤りです。 【(4) 正しい】 遺産分割協議の後に、Cが法定相続分に当たる持分をHに譲渡した場合です。出題当時の民法にはこの点の明文の規定はありませんでしたが、判例(最判昭和46年1月26日)は、遺産分割によって法定相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に権利を取得した第三者に対抗することができない(民法第177条)としていました。現在は、令和元年7月1日施行の改正で新設された民法第899条の2第1項が、相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないと定めています。Bが遺産分割で取得した権利のうち、自己の法定相続分を超える部分、すなわちCの法定相続分に当たる部分については、登記がなければHに対抗できません。本肢は正しい記述です。 【整理】  遺産分割の前に持分を譲り受けた第三者  第909条ただし書。対抗要件を備えれば保護される。  遺産分割の後に持分を譲り受けた第三者  第177条(判例。現在は第899条の2)。法定相続分を超える部分は登記が必要。 いずれにしても、相続人側が登記を備えていなければ第三者に負けるという結論は同じです。相続を理由に登記を後回しにしてよいわけではない、という点が実務上の教訓になります。 正答は (3) です。

出典:令和元年度 マンション管理士試験問題 問13(公益財団法人 マンション管理センター 公表)出典元ページ

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