先取特権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…
午前の部(民法) 午前の部 第12問
先取特権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 共益の費用のうち全ての債権者に有益でなかったものについては、共益の費用の先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。イ 建物の賃借権の譲渡が適法にされた場合であっても、建物の賃貸人の先取特権は、賃借権の譲受人がその建物に備え付けた動産には及ばない。ウ 不動産の工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増加額についてのみ存在する。エ 同一の動産について動産の保存の先取特権が互いに競合する場合には、前の保存者が後の保存者に優先する。オ 不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為の前にその費用の予算額を登記しなければならない。
- (1)アイ
- (2)アウ
- (3)イエ
- (4)ウオ
- (5)エオ
正答 (2)
正答は (2)。正しいのはアとウです。
【ア】正しい
共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在します(民法第307条第1項)。同条第2項は、そのうち全ての債権者に有益でなかったものについては、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在すると定めています。
【イ】誤り
民法第314条は、賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶと定めています。賃借権の譲渡が適法にされた場合でも、譲受人が建物に備え付けた動産に先取特権が及びます。
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【ウ】正しい
民法第327条第2項は、不動産の工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在すると定めています。工事代金の全額ではなく、現に残っている増価額が限度です。
【エ】誤り
民法第330条第1項後段は、同一の動産について動産の保存の先取特権が競合し、数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先すると定めています。後の保存行為によって、前の保存者の先取特権の目的物も保たれたといえるからです。記述は優先の順が逆です。
【オ】誤り
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければなりません(民法第337条)。保存行為の前に費用の予算額を登記しなければならないのは、不動産の工事の先取特権です(第338条第1項)。
【整理】
不動産の先取特権の登記の時期
保存の先取特権:保存行為の完了後、直ちに(第337条)
工事の先取特権:工事を始める前に、予算額を(第338条第1項)
売買の先取特権:売買契約と同時に、代価又は利息の弁済がない旨を(第340条)
正しいのはアとウですから、正答は (2) です。
出典:2024年(令和6年度) 司法書士試験 午前の部 第12問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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