動産質に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…
午前の部(民法) 午前の部 第14問
動産質に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 質権者は、質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、被担保債権の弁済に充当することができる。イ 質権の設定は、債権者にその目的物を現実に引き渡さなければ、その効力を生じない。ウ 質権者は、その権利の存続期間内において、質権設定者の承諾がなくとも、質物を第三者に引き渡して、当該第三者のために転質権を設定することができる。エ 質権者は、質権者による質物の使用について質権設定者の承諾がなく、かつ、目的物の保存のために質物の使用の必要がない場合であっても、質物の使用をすることができる。オ 質権設定者が被担保債権の弁済前に質権者に対して訴訟を提起して目的物の返還を請求し、質権者が質権の抗弁を主張した場合には、裁判所は、当該請求を棄却するとの判決をするのではなく、被担保債権の弁済と引換えに目的物を引き渡せとの引換給付判決をしなければならない。
- (1)アイ
- (2)アウ
- (3)イオ
- (4)ウエ
- (5)エオ
正答 (2)
正答は (2)。正しいのはアとウです。
【ア】正しい
留置権の果実収取の規定(民法297条)は質権に準用されます(同法350条)。質権者は質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って被担保債権の弁済に充当できます。
【イ】誤り
質権の設定は、債権者に目的物を引き渡すことによって効力を生じます(民法344条)。この引渡しは現実の引渡しに限られず、簡易の引渡しや指図による占有移転でもよいと解されています。認められないのは、設定者に代理占有させること、つまり占有改定です(同法345条)。「現実に引き渡さなければ」とする点が誤りです。
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【ウ】正しい
質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について転質をすることができます(民法348条前段)。設定者の承諾は要りません(責任転質)。その代わり、転質をしなければ生じなかった損失については、不可抗力によるものでも責任を負います(同条後段)。
【エ】誤り
留置権者の使用の制限(民法298条2項)は質権に準用されます(同法350条)。質権者は、設定者の承諾なしに質物を使用できません。ただし、質物の保存に必要な使用は承諾なしにできます。承諾がなく、保存のための必要もないのに使用できるとする点が誤りです(不動産質権は別で、使用収益できます。同法356条)。
【オ】誤り
留置権の抗弁が認められた場合は、判例上、引換給付判決がされます。これに対し、質権者は目的物を留置して優先弁済を受ける権利を持ち、被担保債権の弁済があるまで返還を拒めるので、判例は、質権の抗弁が認められたときは請求を棄却すべきものとしています。引換給付判決をしなければならないとする点が誤りです。
【組み合わせ】
正しいのはアとウで、これを組とする (2) が正答です。
出典:2023年(令和5年度) 司法書士試験 午前の部 第14問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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