複雑訴訟形態に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…
午後の部(民事訴訟法) 午後の部 第2問
複雑訴訟形態に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 一の訴えで一人に対して数個の請求をする場合において、その訴えで主張する利益が各請求について共通であるときは、各請求の価額を合算せずに、訴訟の目的の価額を算定する。イ 数人に対する一の訴えについては、訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときは、一の請求について管轄権を有する裁判所にその訴えを提起することができる。ウ 一の訴えで一人に対して数個の請求がされた場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。エ 相手方が本案について口頭弁論をした後は、相手方の同意を得なければ、訴えの追加的変更をすることができない。オ 裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。
- (1)アウ
- (2)アオ
- (3)イウ
- (4)イエ
- (5)エオ
正答 (2)
正答は (2)。正しいのはアとオです。
【ア】正しい
民事訴訟法第9条第1項は、一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とするとしつつ、ただし書で、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでないと定めています。たとえば、所有権確認と、同じ物の引渡請求を併合する場合のように、利益が共通する請求は合算しません。
【イ】誤り
併合請求の裁判籍(民事訴訟法第7条)により、一の請求について管轄権を持つ裁判所に他の請求も併せて訴えることができますが、同条ただし書は、数人からの又は数人に対する訴えについては、第38条前段に定める場合に限るとしています。第38条前段は、訴訟の目的である権利義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときです。記述の「権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくとき」は第38条後段の場合なので、併合請求の裁判籍は認められません。
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【ウ】誤り
口頭弁論の分離・併合は、裁判所の裁量で命ずるものです(民事訴訟法第152条第1項)。一人に対する数個の請求(訴えの客観的併合)について、原告の申出があれば分離しないで弁論・裁判をしなければならないとする規定はありません。弁論及び裁判を分離しないでしなければならないとされているのは、共同被告に対する請求が法律上併存し得ない関係にある場合に、原告が申し出た同時審判申出共同訴訟(第41条第1項)です。
【エ】誤り
訴えの変更(民事訴訟法第143条第1項)は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまですることができ、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときに限って許されません。相手方の同意は要件ではありません。相手方が本案について口頭弁論をした後に同意が必要になるのは、訴えの取下げです(第261条第2項)。
【オ】正しい
民事訴訟法第152条第2項は、裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならないと定めています。併合前の証拠調べの結果は併合後の事件でもそのまま使えますが、尋問に関与できなかった当事者の反対尋問の機会を保障する趣旨です。
【整理】
第38条の共同訴訟の要件
前段:権利義務の共通、同一の事実上・法律上の原因 → 併合請求の裁判籍(第7条)が使える
後段:権利義務の同種+事実上・法律上同種の原因 → 共同訴訟はできるが、第7条は使えない
正しいのはアとオですから、正答は (2) です。
出典:2024年(令和6年度) 司法書士試験 午後の部 第2問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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