民事保全に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…

午後の部(民事保全法・民事執行法) 午後の部 第6問

民事保全に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 裁判所は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、その期日を経ずに、仮の地位を定める仮処分命令を発することができる。イ 保全命令に対しては、その命令につき不服のある債務者は、即時抗告をすることができる。ウ 保全命令が発せられた後であっても、保全命令の申立てを取り下げるには、債務者の同意を得ることを要しない。エ 物の給付を命ずる仮処分の執行については、仮処分命令が債務名義とみなされる。オ 不動産の占有移転禁止の仮処分命令の執行は、債務者に対してその不動産の占有の移転を禁止することを命ずるとともに、その旨の登記をする方法により行う。

正答 (3)
正答は (3)。誤っているのはイとオです。 【ア】正しい 民事保全法第23条第4項は、仮の地位を定める仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ発することができないとしつつ、ただし書で、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでないと定めています。仮の地位を定める仮処分は債務者への影響が大きいので原則として債務者の言い分を聞きますが、密行性が必要な場合は例外が認められています。 【イ】誤り 保全命令に対して不服のある債務者は、その命令を発した裁判所に保全異議を申し立てることができます(民事保全法第26条)。即時抗告ができるのは、保全命令の申立てを却下する裁判に対する債権者です(第19条第1項)。保全命令に対して債務者が即時抗告をすることはできません。
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【ウ】正しい 民事保全法第18条は、保全命令の申立てを取り下げるには、保全異議又は保全取消しの申立てがあった後においても、債務者の同意を得ることを要しないと定めています。保全命令が発せられた後でも同じです。保全命令は暫定的な処分で、取り下げても債務者に不利益はないからです。 【エ】正しい 民事保全法第52条第2項は、物の給付その他の作為又は不作為を命ずる仮処分の執行については、仮処分命令を債務名義とみなすと定めています。そのため、仮処分命令に基づいて、民事執行法の強制執行の方法で執行できます。 【オ】誤り 不動産の占有移転禁止の仮処分命令の執行は、執行官が、債務者の占有を解いて執行官に保管させ、債務者に占有の移転を禁止することを命じたことなどを公示する方法で行います(民事保全法第25条の2、民事保全規則)。登記はしません。登記をする方法で執行するのは、不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分です(民事保全法第53条第1項)。 【整理】 不服申立ての相手と手段 保全命令の発令に不服(債務者):保全異議(第26条)、保全取消し(第37条〜第39条) 申立ての却下に不服(債権者):即時抗告(第19条第1項) 保全異議・保全取消しの裁判に不服:保全抗告(第41条) 誤っているのはイとオですから、正答は (3) です。

出典:2024年(令和6年度) 司法書士試験 午後の部 第6問(法務省 公表)出典元ページ

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