民事執行における債務者の財産状況の調査に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち…

午後の部(民事保全法・民事執行法) 午後の部 第7問

民事執行における債務者の財産状況の調査に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 債務者の財産について一般の先取特権を有する債権者であっても、その被担保債権について執行力のある債務名義の正本を有しない場合には、当該債務者について、財産開示手続を申し立てることができない。イ 財産開示手続の申立人以外の者であっても、債務者に対する金銭債権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者は、当該財産開示手続に係る事件の記録中財産開示期日に関する部分の閲覧をすることができる。ウ 貸金返還請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者は、第三者からの情報取得手続において、債務者の給与債権に係る情報の提供を求めることができる。エ 債務者の預貯金債権に関する金融機関からの情報取得手続は、先に財産開示期日における手続が実施されていなければ、申し立てることができない。オ 第三者からの情報取得手続の申立人は、当該手続において得られた債務者の財産に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従って行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

正答 (4)
正答は (4)。正しいのはイとオです。 【ア】誤り 財産開示手続は、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者のほか、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者も申し立てることができます(民事執行法第197条第2項)。一般の先取特権を持つ債権者は、債務名義がなくても担保権の実行として執行できる立場にあるからです。 【イ】正しい 財産開示事件の記録中、財産開示期日に関する部分の閲覧等ができる者は、申立人のほか、債務者に対する金銭債権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者、債務者又は開示義務者に限られます(民事執行法第201条)。申立人以外の債権者でも、債務名義の正本を持っていれば閲覧できます。
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【ウ】誤り 第三者からの情報取得手続のうち、債務者の給与債権(勤務先)に関する情報を市町村や年金機構などから得る手続を申し立てられるのは、扶養義務等に係る請求権(養育費など)又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者に限られます(民事執行法第206条第1項)。貸金返還請求権の債権者は、給与債権の情報の提供を求めることはできません。 【エ】誤り 財産開示期日における手続の実施が先に必要とされている(財産開示の前置)のは、不動産に関する情報(民事執行法第205条第2項)と給与債権に関する情報(第206条第2項)の取得手続です。預貯金債権や振替社債等(上場株式など)に関する金融機関などからの情報取得手続(第207条)には、この前置は要求されていません。※2026年10月時点では、給与債権に関する情報の取得の前置は第206条第3項が定めています。 【オ】正しい 民事執行法第210条第1項は、第三者からの情報取得手続の申立人は、その手続で得られた債務者の財産に関する情報を、その債務者に対する債権をその本旨に従って行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならないと定めています。違反には過料の制裁があります。 【整理】 第三者からの情報取得手続(2020年4月施行の改正で新設) 不動産(登記所):財産開示の前置が必要 給与債権(市町村・年金機構など):申立人は養育費等・生命身体侵害の損害賠償の債権者に限る+財産開示の前置が必要 預貯金・振替社債等(金融機関など):前置は不要 正しいのはイとオですから、正答は (4) です。

出典:2024年(令和6年度) 司法書士試験 午後の部 第7問(法務省 公表)出典元ページ

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