先取特権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…
午前の部(民法) 午前の部 第12問
先取特権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 雇用関係の先取特権は、債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた最後の6か月間の債権についてのみ存在する。イ 動産の売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができない。ウ 不動産の賃貸の先取特権について、即時取得の規定は準用されない。エ 同一の不動産について不動産の工事の先取特権と不動産の保存の先取特権とが競合する場合には、不動産の工事の先取特権は、不動産の保存の先取特権に優先する。オ 不動産の売買の先取特権は、売買契約と同時に不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨の登記がされた場合であっても、その前に登記がされた抵当権に先立って行使することができない。
- (1)アウ
- (2)アエ
- (3)イウ
- (4)イオ
- (5)エオ
正答 (4)
正答は (4)。正しいのはイとオです。
【ア】誤り
雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在します(民法308条)。かつては「最後の6か月間の給料」に限られていましたが、2003年の改正でこの期間の制限はなくなりました。
【イ】正しい
判例は、動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできないとしています。動産売買の先取特権には公示方法がないので、目的債権の譲受人を保護する必要があるからです。抵当権に基づく物上代位について、目的債権の譲渡後でも差し押さえて行使できるとした判例とは結論が異なるので、区別して覚えます。
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【ウ】誤り
民法319条は、即時取得の規定(民法192条から195条まで)を、不動産の賃貸・旅館の宿泊・旅客又は荷物の運輸の先取特権に準用しています。そのため、賃貸人が、賃借人が持ち込んだ他人の動産を賃借人の所有物と過失なく信じたときは、その動産についても不動産賃貸の先取特権を取得します。
【エ】誤り
同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合、その優先権の順位は、民法325条各号に掲げる順序、すなわち①不動産の保存、②不動産の工事、③不動産の売買の順に従います(民法331条1項)。保存の先取特権が工事の先取特権に優先するので、記述は逆です。
【オ】正しい
不動産の保存・工事の先取特権は、所定の登記をすれば、それより前に登記された抵当権にも先立って行使できます(民法339条)。しかし、不動産の売買の先取特権にはこの特則がなく、売買契約と同時に代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しても(民法340条)、抵当権との優劣は登記の先後によります。先に登記された抵当権には優先しません。
【まとめ】
正しいのはイとオで、この組合せは (4) です。
出典:2025年(令和7年度) 司法書士試験 午前の部 第12問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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