扶養に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…

午前の部(民法) 午前の部 第21問

扶養に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 扶養権利者を扶養した扶養義務者が他の扶養義務者に対して求償する場合における各自の分担額について、扶養義務者の間で協議が調わなかったときは、家庭裁判所が当該分担額を審判で定める。イ 扶養権利者と扶養義務者との間で扶養の程度又は方法について協議が調った後に、事情の変更があったときは、家庭裁判所は、その協議の変更又は取消しをすることができる。ウ 家庭裁判所は、特別の事情がある場合には、扶養を受けるべき者の父母の兄弟姉妹の子に扶養の義務を負わせることができる。エ ある扶養権利者に対して扶養義務者が数人ある場合において、扶養義務者の間で扶養をすべき者の順序について協議が調ったときは、当該扶養権利者は、その協議により定められた順序に従って扶養の請求をしなければならない。オ 扶養権利者は、扶養義務者との間で扶養料の具体的な額について協議をする前に扶養を受ける権利を放棄することができる。

正答 (1)
正答は (1)。正しいのはアとイです。 【ア】正しい 判例は、扶養義務者の一人が扶養権利者を扶養し、他の扶養義務者に過去の扶養料を求償する場合、各自の分担額は、協議が調わない限り、家庭裁判所が各自の資力その他一切の事情を考慮して審判で定めるべきであり、通常の裁判所が判決手続で判定すべきではないとしています。 【イ】正しい 民法第880条は、扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができると定めています。
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【ウ】誤り 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があります(第877条第1項)。家庭裁判所は、特別の事情があるときは、これ以外に「三親等内の親族間」においても扶養の義務を負わせることができます(同条第2項)。扶養を受けるべき者の父母の兄弟姉妹の子は「いとこ」で、四親等の親族です。三親等を超えるので、家庭裁判所でも扶養の義務を負わせることはできません。 【エ】誤り 扶養をすべき者の順序は、当事者間の協議で定め、協議が調わないときや協議ができないときは家庭裁判所が定めます(第878条)。ここでの協議の当事者には扶養権利者も含まれるとする見解が一般的で、扶養義務者の間だけで順序を取り決めても、扶養権利者はその取決めに当然には拘束されないと解されています。扶養権利者が、義務者間の協議で定めた順序に従って請求しなければならないわけではありません。 【オ】誤り 民法第881条は、扶養を受ける権利は、処分することができないと定めています。扶養を受ける権利は、権利者の生活を支えるための一身専属的な権利なので、協議や審判で具体的な額が定まる前に放棄することはできません。 【整理】 扶養義務者(第877条):直系血族・兄弟姉妹(当然)、三親等内の親族(特別の事情があるとき、家庭裁判所の審判) 順序・程度・方法:協議 → 調わなければ家庭裁判所(第878条・第879条)、事情変更で変更・取消し(第880条) 扶養を受ける権利:処分できない(第881条) 正しいのはアとイですから、正答は (1) です。

出典:2024年(令和6年度) 司法書士試験 午前の部 第21問(法務省 公表)出典元ページ

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