占有権に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1 から5 までのうち,どれか。…
午後の部(民法) 午後の部 第2問
占有権に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1 から5 までのうち,どれか。ア 他人のために占有をする者であっても,その占有を奪われたときは,占有回収の訴えを提起することができる。イ 甲土地の占有者であるAから占有の訴えを提起されたBは,その訴えに対する防御方法として,甲土地の所有権が自らにあることを主張することができる。ウ 占有者が占有物の所持を失った場合には,その占有者は,占有回収の訴えを提起して勝訴し,現実にその占有物の占有を回復したとしても,その占有物の所持を失っていた間の占有の継続を主張することはできない。エ 甲土地を占有していたAからその占有を承継したBは,自己の占有にAの占有を併せて主張することはできるが,自己の占有のみを主張することはできない。オ 代理人が自己の占有物について以後本人のために占有する意思を表示したときは,本人は,これにより占有権を取得する。
- (1)アウ
- (2)アオ
- (3)イウ
- (4)イエ
- (5)エオ
正答 (2)
正答は (2)。正しいのはアとオです。
【ア】正しい
占有者は占有の訴えを提起することができ、他人のために占有をする者(賃借人や受寄者などの占有代理人)も同様です(民法197条)。他人のために占有をする者も、占有を奪われたときは、占有回収の訴え(民法200条1項)を提起できます。
【イ】誤り
占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができません(民法202条2項)。占有の訴えを提起されたBは、その防御方法として、甲土地の所有権が自分にあると主張することはできません。なお、判例は、所有権に基づく反訴を提起することは許されるとしています。
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【ウ】誤り
占有権は、占有物の所持を失うことによって消滅しますが、占有者が占有回収の訴えを提起したときは消滅しません(民法203条)。判例は、占有回収の訴えを提起して勝訴し、現実に占有を回復したときは、所持を失っていた間も占有が継続していたものと擬制されるとしています。占有の継続を主張することができないとする点が誤りです。
【エ】誤り
占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができます(民法187条1項)。Bは、自己の占有のみを主張することもできます。前の占有者の占有を併せて主張するときは、その瑕疵も承継します(同条2項)。
【オ】正しい
代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得します(占有改定、民法183条)。
【まとめ】
正しいのはアとオで、この組合せは (2) です。
出典:2021年(令和3年度) 土地家屋調査士試験 午後の部 第2問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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