占有権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。…

午後の部(民法) 午後の部 第2問

占有権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。ア 甲土地を占有しているAが死亡し、BがAを相続した場合には、Bが甲土地の取得時効を主張するためには、自己の占有にAの占有を併せて主張しなければならず、自己の占有のみを主張することはできない。イ Aが所有する甲建物を無権原のBから賃借して占有していたCは、その占有期間中Bが甲建物の所有者であると過失なく信じていたとしても、Aに対し、その使用利益を返還する義務を負う。ウ Aが所有する甲建物を無権原のBから賃借して占有しているCは、Aに甲建物を明け渡す場合には、その占有期間中に落雷によって生じた甲建物の損傷を修復するために修繕費を支出していたとしても、Aに対し、当該修繕費の償還を請求することはできない。エ Aが自己の所有する甲建物をBに占有させている場合において、Aが甲建物をCに売却した後、AがBに対して以後Cのために甲建物を占有することを命じ、Cがこれを承諾したときは、Cは、甲建物の占有権を取得する。オ 甲建物の賃借人であるAから甲建物を転借して占有しているBが、Cによりその占有を奪われたときは、Aは、Cに対し、占有回収の訴えを提起することができる。

正答 (5)
正答は (5)。正しいのはエとオです。 【ア】誤り 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができます(民法187条1項)。判例は、相続による承継の場合にもこの規定が適用されるとしています。相続人Bは、自己の占有のみを主張することもできます。 【イ】誤り 善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得します(民法189条1項)。判例は、建物を使用したことによる利益(使用利益)も果実と同じように扱われるとしています。Bが甲建物の所有者であると過失なく信じて占有していた善意の占有者Cは、Aに使用利益を返還する義務を負いません。
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【ウ】誤り 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができます(民法196条1項本文)。果実を取得した占有者が負担するのは「通常の」必要費だけです(同項ただし書)。落雷による損傷の修繕費は、通常の必要費ではない特別の必要費なので、Cは明け渡す際にAに償還を請求することができます。 【エ】正しい 代理人によって占有をする場合に、本人がその代理人に対して以後第三者のために物を占有することを命じ、その第三者が承諾したときは、その第三者は占有権を取得します(民法184条。指図による占有移転)。AがBに以後Cのために占有するよう命じ、Cが承諾すれば、Cは甲建物の占有権を取得します。 【オ】正しい 占有の訴えは、占有者が提起できるほか、他人のために占有をする者もすることができます(民法197条)。転貸借では、転借人Bが直接占有し、賃借人Aは代理人Bによって占有する間接占有者です(民法181条)。間接占有者Aも占有者なので、Bが占有を奪われたときは、Cに対して占有回収の訴えを提起することができます(民法200条1項)。 【まとめ】 正しいのはエとオで、この組合せは (5) です。

出典:2025年(令和7年度) 土地家屋調査士試験 午後の部 第2問(法務省 公表)出典元ページ

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