次の対話は,弁済に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち,正しいものの組合…

午前の部(民法) 午前の部 第16問

次の対話は,弁済に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち,正しいものの組合せは,後記1から5 までのうち,どれか。教授: 第三者による弁済について検討してみましょう。弁済をするについて正当な利益を有する第三者は,債権者の意思に反しても,弁済をすることはできますか。問題となっている債務が,その性質上第三者による弁済を許すものであり,当事者が第三者による弁済を禁止し,又は制限する旨の意思表示をしていないことを前提に考えてください。学生:ア 弁済をするについて正当な利益を有する第三者は,債権者の意思に反しても,弁済をすることができます。教授: では,弁済の方法について考えてみましょう。債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによって弁済をすることが許されている場合に,その方法によって弁済の効力が生ずるのは,どの時点ですか。学生:イ 債権者が払込みがあった口座から金銭の払戻しを現実に受けた時点です。教授: 次に,代物弁済について考えてみましょう。代物弁済の契約が締結された場合には,代物弁済の契約で定められた給付が現実になくても,弁済と同一の効力は生じますか。学生:ウ 代物弁済の契約が締結されれば,代物弁済の契約で定められた給付が現実になくても,弁済と同一の効力は生じます。教授: 弁済の時間について考えてみましょう。弁済をし,又は弁済の請求をすることができる取引時間の定めがあると認められるのは,どのような場合ですか。学生:エ 債権者と債務者の合意によって取引時間を定めた場合に限り,弁済をし,又は弁済の請求をすることができる取引時間の定めがあると認められます。合意がないのに,このような取引時間の定めがあると認められることはありません。教授: 最後に,弁済の充当について検討しましょう。債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合に,弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないときは,弁済をする者は,その充当すべき債務を指定することができますか。いずれの債務も元本のみしか存在しないことと,弁済をする者と受領する者の間にその充当の順序に関する合意がないことを前提に考えてください。学生:オ 弁済をする者は,給付の時に,その弁済を充当すべき債務を指定することができます。

正答 (2)
正答は (2)。正しいのはアとオです。 【ア】正しい 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができません(民法474条3項本文)が、これは正当な利益を有しない第三者についての制限です。正当な利益を有する第三者(物上保証人など)は、債権者の意思に反しても弁済をすることができます。 【イ】誤り 債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者(金融機関)に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生じます(民法477条)。現実に払戻しを受けた時点ではありません。
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【ウ】誤り 弁済をすることができる者が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合に、その弁済者が当該他の給付をしたときに、その給付が弁済と同一の効力を有します(民法482条)。代物弁済の契約は諾成契約ですが、弁済と同一の効力が生じるのは、定められた給付が現実にされたときです。 【エ】誤り 法令又は慣習により取引時間の定めがある場合には、その取引時間内に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができます(民法484条2項)。取引時間の定めは、当事者の合意だけでなく、法令や慣習によっても認められます。 【オ】正しい 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合に、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます(民法488条1項)。弁済をする者が指定しないときは、弁済を受領する者が受領の時に指定できます(同条2項)。 【組み合わせ】 正しいのはアとオで、これを組とする (2) が正答です。

出典:2021年(令和3年度) 司法書士試験 午前の部 第16問(法務省 公表)出典元ページ

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